【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第21章 新生活
プロンプトを含めみんなが遊びにくるのは、プロンプト・ノクトお兄ちゃん・グラディオ・イグニス・私全員の都合が合った五月の連休に決まった。
その予定を前に、私はさっきから震える手で自分のスマートフォンを握りしめながら一人言い訳大会をしている。
(今度…みんなが来るから…
さすがに一人で全員分作るのは大変だから…イグニスにも料理を手伝ってほしくて…
…で、事前に何を作るか相談したくて…
その為に一度、私の部屋に来てもらうことはおかしなことじゃないよね!? ね!?
わざわざお城に行って会う方が不自然だよね!?)
「だ…だいじょぶのはず…。
こういうのは勢いが大事ってヴァニラも言ってたし…で、電話、掛けよう…!」
緊張のあまり震える指で何とかスマートフォンを操作し…『イグニス・スキエンティア』の名前を画面に表示させ…「えいっ!」と一人気合いの声を上げて発信ボタンをタップする。
ドキドキと騒がしい心臓から意識を離したくて、ぎゅぅ…と服の裾を掴む。
(あぁ…何で電話するだけでこんなに緊張してるの…
お、落ち着け私…)
聞き慣れたはずの呼び出し音が一回、二回と鳴る度に
繋がらなくてどこかほっとしてしまうような気持ちと、
早く要件を伝えて約束を取り付けたいと逸る気持ちが行ったり来たりする。
三回目の呼び出し音が鳴ったと思ったその時
「はい。…どうしたグレイス、電話なんて珍しいな」
びくりと心臓が跳ね上がる感覚があったけど、深く息を吸って何とか声を押さえながら話始める。
「あ…うん、ちょっとお願いしたいことがあって…。
あのさ、今度の五月の連休に皆で集まる予定があるでしょ、その時出すお料理をイグニスにも手伝ってほしくて…
それで…事前に何作るか相談したいから、今度私の部屋に来てもらっても良いかな…?」
「あぁ、もちろんだ。レシピブックもいくつか持っていこう。
…オレを頼ってくれて嬉しいよ、ありがとう」
電話口から聞こえるイグニスの甘い声に、本当に嬉しそうな感情が含まれているのが伝わってきて、無意識にスマホを持つ手に力が入る…。
「そんな…私こそありがとうだよ…。
えと…じゃあ今週の土曜日でいいかな?」
「土曜日だな…あぁ問題ない。とても楽しみだ、必ず行く」
「うん…私も楽しみにしてる。気を付けてきてね」