【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第2章 楽しいお泊まり
手を繋ぎ、二人一緒に花壇に植えられている季節の花々を見ていく。
吹き抜ける風が心地よく、そこには静かで穏やかな時間が流れていた。
風に吹かれ揺り動く花たちを見ていたイグニスがふと口を開く。
「そういえばグレイスは最近お華を始めたんだって?」
「そうなの、家庭教師に嗜みの一つにどうかって勧められて。
でも生花って一つとして同じものはないし、何度も挿し直したり出来ないから、扱いやバランスを取るのが難しくって」
「あぁ…確かに。集中を続けて、慎重に作業をする必要があるわけか…ノクトにも勧めてみようか…
いや、その前にじっと座っていられないか…」
「あ…あははっ、そうかも!」
ブツブツと真剣にノクトお兄ちゃんのことを考えるイグニスの顔が、周りの和やかな景色とあまりにミスマッチでおかしいのと、
途中でしびれをきらしそうなノクトお兄ちゃんの姿がありありと想像出来て笑ってしまう。
ノクトお兄ちゃんに対して『頼むから本を読んでてくれ』って声を上げてること、少なくないもんね。
「お華、まだまだ難しいけど、私が生けたお花をお父さんに贈ると嬉しそうに受け取ってくれるのが今は楽しくて。
ダイニングテーブルに飾って一緒に食事をとりながら眺めてくれたり、お父さんのお部屋に飾ってくれるの」
「あぁ、それはレギス陛下のお喜びになる顔が目に浮かぶよ。
…もしかして最近、スズランをメインにした作品を作らなかった?」
「えーっと…うん、先週作ったよ。
どうしてわかったの?」
「一昨日、部屋を抜け出したノクトを追いかけてレギス陛下の執務室に入る機会があったんだ。
そうしたら、執務室のとても目を引く場所にそのお花が飾ってあったから、もしかして…と思ったんだ」
「そうなんだ…! イグニス、教えてくれてありがとう!」