【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第19章 未来の王と、その軍師
「…ハァ!? 何だよそれ! 何でお前がそんな縁もゆかりもない遠いところに行こうとしてんだよ!」
ノクトお兄ちゃんあまりの剣幕に、一瞬身体がびくっと跳ねかけるのを感じながらも言葉を返す。
「何でって…
将来的にノクトお兄ちゃんは次期国王として、ルシスを導く立場になるでしょう?
その時までに戦争が終わっていなければ、ノクトお兄ちゃんもお父さんみたいに魔法障壁を張らなきゃいけない…命を賭けて。
でも…もし、私が向こうに行くことで状況が変わったり、終戦に持ち込めれば魔法障壁もいらなくなるし、戦禍によって住処や家族を奪われる人達もいなくなる。
その未来の為に私は命の代わりに人生を賭ける。
それが…私の役割だと思った、から…」
そう言いながら ちら、と隣のノクトお兄ちゃんの様子を伺い見ると、顔の上に手を置いて大きな溜め息をつきながら天を仰いでいた。
「はぁー…将来のオレのことまで心配してくれてありがてーことだけどよ、お前それマジで言ってんのか?
オレはそんなの認めらんねー。だってその未来のグレイス、全然幸せそうじゃねーもん。
つかその話親父にもしたのかよ。 親父は? 何て?」
「その考えは嬉しいけど、それ以外にも王女として選べる道はないか探してほしい、幸せに、後悔のないようにしなさいって…」
「ほらみろ。オレも同意見。
なぁ、お前の人生本当にそれで良いのか、もう一回ちゃんと考え直せよ」
「ぇ、あ、わ、わかった…。
何か最近、私色んな人に同じようなこと言われてるんだけど…」
「だろーな。ガキの頃テネブラエから帰ってきてから色々拗らせてるのは気付いてたけど、ここまでとは思ってなかったわ」
「拗らせ…って、ちょっと言い方」
「だってそーだろーが。
自分自身のこと、もっと大事にしろ。
少なくとも、お前が幸せじゃなきゃ、オレは幸せじゃねーぞ」
「それはそう…かもしれないけど…」
そんなこと言うなら、お父さんだって、未来のノクトお兄ちゃんだって、国を守る為に命を削らないで、って言いたい。
私だってノクトお兄ちゃんが幸せじゃなきゃ幸せじゃないって言いたい。
でも…帝国から国を守るために、誰かがやらなきゃいけないんだもんね…
王族だ、王女だなんて言われても、何でも手に入れられる訳でも、大切なもの全てを守れるわけでもないんだな…
…辛い。