【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
「い、一生って…。あのさ、私以外に好きな人や恋人が出来たら捨てるなり返すなりしてちゃんと処分してね? これが原因で喧嘩別れした、とか言われても責任取れないからね!?」
「さっきも言ったが、この先別の女性を好きになることなど絶対にない。
だから、やはりこれは一生大切にするよ」
「…っ。………ばか。」
消化しきれない自分の気持ちを誤魔化す為に口にした言葉に対して、被せるように真顔でこんなことを言うイグニスに一瞬息が詰まった。
こんなイグニスの気持ちを否定するようなこと、言いたいわけじゃないのに。
「はは、そうかもしれないな。グレイスに対する想いの前では、オレもただの一人の男だからな。
…そうだ。グレイスはまだオレの愛の深さをわかっていないようだから、それを証明するために今、ここで抱きしめてもいいか?」
「…はっ? いや何かもっともらしいこと言ってる風だけど…違うでしょ。
ダメ…。ダメ、だよ…」
人のことを言えた立場ではないけど、イグニスも何を言い出すの。
それとも沈みかけた雰囲気を明るくする為にあえてこんなことを言っているのか真意を測りかねてしまう。
零れ落ちそうになる本音を押し殺しながら何とかダメだと返事をする。
「ふ、そんな弱々しく可愛らしい声で言って…本当に断る気があるのか? それに、理由があれば、ハグして良いんだったな?」
「ちょっと…そんなこと言うの!? 今日のイグニス、ほんっと意地悪!
あと、確かに理由があれば、とは言ったけど…理由ってこういうのじゃないでしょ? もっと必要に迫られた時のイメージで言ったんだけど…」
「ふ、意地悪なオレは嫌いか?
意地悪ついでに言わせてもらうと、抱きしめられるのも、ケジメ的に『ダメ』なだけで、『イヤ』ではないんだろう?」
「んなっ!?」
連続する遠慮のない言い草に加え、揚げ足をとるような言葉にさすがにあんまりじゃないかと異を唱えようとしたけれど、
「あぁいや、今のはさすがに意地が悪すぎたな。
…全部、オレのせいにしていいから。ほら」
そう言ってイグニスはあっという間に私を彼の大きくて広い胸に抱き寄せてしまった。
気付いた時には、私の視界はイグニスのシャツに埋め尽くされていた。