【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
「…何か、今日のイグニス、意地悪っていうか…遠慮ない、よね?」
「そう、だな。
ダンスをしている時にグレイスからも熱を向けてもらえたのと、一生想い続けたいというオレのありのままの気持ちを受け止めてもらえたのが嬉しくてな…。
…だが、こうしてオレの気持ちをグレイスに伝えるのは、グレイスの気持ちを波立たせてしまうとわかっている。
明日からはまた、従者として節度ある振る舞いをするから…今夜だけは、こうしてグレイスの身体に、グレイスの心に触れることを許してくれ…」
「…うん」
一言だけそう返し、それまでだらりと垂らしていただけの腕をそっとイグニスの背中に回す。
その感触に安心したかのようにイグニスの身体から深呼吸が一つはき出され、力の抜けた身体同士は自然ともう一歩分、互いの距離が近付いた。
「イグニス…ありがとう」
「…それは、何に対してだ?」
フロアで皆の前で隠さず想いを瞳で伝えてくれたこと、
どれだけ私のことを好きか伝えてくれたこと、
ネックレスに一生の気持ちを誓ってくれたこと、
オレのせいにしていいから、って不器用な私を抱きしめてくれたこと。
「色々。今日のこと、全部」
「そうか…なら良かった」
「…好き。私が、イグニスのこと、世界で一番好き」
「ありがとう…。オレも、グレイスが世界で一番大切な女性だ…」
気軽に口には出来ない愛の言葉。
だけれど、どうしても今夜は言葉にしてハッキリと伝えたかった。
そんな不自由な切なさが辛くて辛くて…二人の声が震えていたのはお互い言わないことにした。