【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
逆、と言われて不思議そうな顔をするイグニスを横目に、棚から一つ箱を取り出す。
中身は、チェーンの中心に一つ円形のチャームがついているだけのシンプルなシルバーネックレスだ。
以前どこかのブランドから贈られて、洋服を選ばないデザインが使い勝手良く、時々身につけているもの。
「これ、あげる。
たまに私が使ってたから新品じゃなくて申し訳ないんだけど…」
イグニスにネックレスを見せようと箱からそれを取り出すと、これから伝える自分の欲深さに似つかわしくない涼やかな音が シャラリ と鳴る。
「お願いっていうのは…
私を好きでいてくれる間は、その証としてこれを身につけていてほしいの。
イグニス、知ってる? ネックレスのプレゼントには『あなたを独占・束縛したい』って意味があるんだ。
だから…これを着けて、私のことをずっと感じてて欲しいってこと。
…大丈夫? 想いには応えられない、なんて言うくせに独占・束縛したいって言うなんて、あまりの身勝手さに引いてない?」
「ふっ…ははは、まさか。そんなこと、思うものか。
好きな女性に…グレイスにそんな風に願ってもらえて光栄だ。
では、オレからも一つお願いをしたいのだが…そのネックレス、今グレイスがオレにつけてくれないか?」
「もちろん、そのつもりだよ。イグニス、少し屈んでくれる?」
自分自身、めちゃくちゃなことを言っている自覚はある。
これは歪んだ…ただただ醜い私の独占欲。
それなのにイグニスは笑顔で頷き、白の蝶ネクタイとシャツのボタンを外してから顔の高さを合わせてくれた彼の首に、正面から腕を回す。
シャツの前を開け、距離を縮めたことによって、胸元からフワリと漂うイグニスのニオイに誘われるまま抱きつきたくなる衝動をグッと堪える。
(ダメ…ケジメ、ちゃんとしなきゃ)
一人心の中で葛藤をし、アクセサリーの留め具がちゃんとハマったことを確認して手を離す。
「わ…イグニスがつけると私の時に比べて大分短く見える。首元、苦しくない?」
「問題ない。ありがとうグレイス、一生大事にする」