【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
「………。」
イグニスの真っ直ぐな言葉に胸が締め付け、涙がにじむ。
大好きな人にこんなにも想ってもらっているのに、これ以上ないくらい幸せなはずなのに、それを素直に喜べないこの状況に心と身体がバラバラになってしまいそう。
「…すまない。オレの気持ちを押し付けて、随分キツイ言い方になってしまったな。
グレイスにそんな顔をさせたかった訳じゃないのに…」
イグニスが申し訳なさそうに俯きながら眼鏡のブリッジを押さえる。
(私も…私もそんな顔、イグニスにさせたくなかったよ…ごめんね)
もしも私が王女じゃなかったら。いやせめて戦争のない時代だったら。
もしも私が後のことなんか後で考えるって思えるタイプの性格だったら。もっと自分の欲に正直になれるタイプの性格だったら良かったのに…。
(でも…そんな不器用な私をイグニスは『優しくて努力家』で『王女らしくて立派』って言って、好きになってくれたんだよね…ありがとう…)
「謝らないで。イグニスの気持ち、すごく嬉しいから…ありがとう。
…あぁ、そうだ。そんなに私のこと大好きって言ってくれるなら…お願い一つ、聞いてくれる?」
場の空気を変えたくて、俯くイグニスを下から覗き込み、イタズラっぽく見つめて聞いてみる。
「…なんだ。この気持ちを諦めろ、というのはナシだぞ」
「ふふ、違うよ。むしろその逆」