【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
私の部屋に着いてから
「話があるから入って。少し待ってね」と朝から放ったらかしだったスマートフォンと手に取り
『私は今自分の部屋に戻ったから、ヴァニラも今夜はもう休んでくれていいよ。お疲れ様』とメッセージを送る。
それから一呼吸してイグニスに向き直り、重たい口を開いた。
「まだ…私のこと好きでいてくれてたんだね」
「そんなこと、当たり前だろう」
至極当然と言わんばかりの語気に加え、真っ直ぐ射ぬいてくるイグニスの目に宿る意志の強さに、思わず視線を床へと外してしまう。
「だって…気持ちには応えられないって言ったのに…」
「好きでいるのをやめろとは言われていないからな。
もちろん、グレイスの決断を尊重するし、否定するつもりもない。
だが、頭で理屈がわかっているのと、心の整理をつけるのは別だろう?
グレイスだって…そうじゃないのか?」
「…うん。イグニスの言う通りだよ」
頭と心は別。イグニスに恋心を自覚した時からそれは自分自身が身に染みて実感していた。
「それでもね…イグニスには一人の男性としてもちゃんと幸せになってもらいたいんだよ」
心とちぐはぐな発言をしているからか、視線が勝手にあちこち彷徨う。自分で決めたことなのに…情けない。