【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
踊り始めてからも、イグニスはずっと変わらず私の瞳だけを射抜いてくる。
その瞳は、先程別の女性に向けていたものとは全く別物で。
あの時だって、十分柔らかな笑顔で対応していたと思ったけれど、
今のイグニスの顔を見ればさっきの笑顔には礼儀こそ含まれていたが、異性に向ける情は全く入っていなかったのだとハッキリわかる程に違う。
お互い、先程までのようにダンスのテクニックを披露するようなこともせず、いつかの夜のようにただ見つめあい、流れてくる音のリズムにわずかに身を揺らす。
こんな風にしていたら、見る人が見たら気付いてしまうのではないか。
私の心が、
イグニスの心が、
誰に染まっているのかわかってしまうのではないか。
…それでも、良いと思った。
ううん、むしろわかってしまえば良いとすら思った。