• テキストサイズ

【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第17章 逢瀬


「…グレイス! オ、オレともう一曲踊ろう! なっ? いいだろう?」

「え、えぇっ!?」

私が返事をするが早いか否か、パシと手を取られ、再度ノクトお兄ちゃんと向かい合う。

この状況から自分の退出への道を確保するには、何人か(一体何人で終わるのかは考えたくもない状況だけど)ダンスの相手をして頃合いを見計らうしかないか…と半ば諦めていた私には想定外の提案だった。


あからさまに周囲から「え~~~~っ」と落胆の声が聞こえてきたが、相手が王女とあってはどんな上級貴族のご令嬢も文句を言う訳にはいかず渋々と下がっていく。

下がってくれたは良いものの、ノクティス王子が参加する貴重な機会を逃してなるものか、と女性達はあまり他の男性のダンスの誘いを受けていないようだった。


(う~ん、人がフロアに出てくれないといつまで経っても帰れないんだよなぁ)


チラリと入ってきた出入り口に目を向け、改善されない状況にそっと溜め息をつく。

「ノクトおにーちゃーん…諦めてご令嬢達のお相手したら…?」

「無茶言うなよ! グレイスとだからフツーに踊れてっけど、初対面の女相手にこの距離とかぜってー無理だっつーの!!」

げんなりとした感情を込めた目で見上げ、小声で訴えてはみたものの、ほんの僅かな検討の余地もなく却下される。

(ですよねー…困ったなぁ…)

具体的な解説案が出ないまま早くも二曲目が終わろうとしたその時、「ワッ」と声が上がったと同時に人が、特に多くの女性達が波になって流れ出した。

不思議に思いそちらへ視線を向けると、何とイグニスやグラディオが率先して女性達をダンスに誘い、フロアに降り始めたのだ。

現在の宰相であるクレイラスの息子グラディオラス、
王子の側近であり、将来有望間違いなしのイグニス。

その二人の誘いを受けられるチャンスが目の前にあるとなれば、今しがた王子にそっけなく誘いを断られた女性達には十分すぎる程に魅力的な代案だったのだろう。

/ 589ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp