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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第17章 逢瀬


繋いだ手を一度解き、仰向けに差し出されたノクトお兄ちゃんの手のひらの上に重ねる。
これは社交ダンスで入場の時にカップルがやる手の繋ぎ方。
そうして、楽団が奏で音がする方へと二人ゆっくり歩を進めた。

パーティー会場と、控室を仕切っていた重厚なエンジ色のカーテンをスタッフが開くと、一面華やかな景色が飛び込んできた。

色とりどりのドレスに身を包んだ女性達。
曇り一つなく磨かれたフロアに、国王陛下の誕生日を祝う為の豪奢な装飾。
それに華をそえる優美な演奏。
そして、高く開放感のある天井につけられた煌びやかなシャンデリアの光が、より一層この場を輝かしく見せていた。

両サイドをカーテンと同じエンジ色のロープで仕切って開けられた通路スペースを進んでいくと、高座にいるお父さんと目が合った。

こちらを見て嬉しそうに微笑んでいる。

(頑張るからね)

そう気持ちを込めた瞳で見つめた後、フロア全体を見渡すと、周りより完全に頭一つか二つ分は飛び抜けているであろうグラディオを見つけた。そのすぐ近くにイグニスもヴァニラも。
イグニスがこちらを見つめ、笑顔を見せながら律儀に拍手をしながら迎えてくれていることが何だか少しくすぐったい。

フロアへ入るところで一礼してから中心へと進む。

私達が向き合って立ち止まったところで一度演奏が止まり、一呼吸置いた後、予定通りクラシックなワルツの旋律が流れ始めた。

(…うん。何度も聞いて、何度も練習した。大丈夫。)

そんな気持ちを伝えたくてノクトお兄ちゃんの顔を見ながらにこりと笑うと、それまで真顔だったノクトお兄ちゃんの表情が ふっ と柔らかく緩み、陽だまりのように温かい微笑みを返してくれた。




…と同時に、私の背後辺りから、「きゃぁ!」とか「ノクティス様、笑顔が素敵!」とかそんな黄色い声と、流れている音楽に負けない騒めきが聞こえた。

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