【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第17章 逢瀬
「? 何言ってんだイグニス?
グレイスは最初から本物のお姫様だろ?」
私のときめいている心を他所に、ノクトお兄ちゃんがイグニスの本意からちょっとズレた発言をする。
「あ…いや、ノクト。それはもちろんそうなんだが、これはそういう意味ではなくて…」
「はぁ? じゃどーゆー意味だよ。よくわかんねー」
そんな微妙にかみ合わない二人の会話を耳にして、思わずヴァニラと二人でくすくすと笑いながら眺めていた。
そうしてしばらくした後、大勢のゲストがパーティー会場に集まりだし、出番が近付いてきた。
イグニスとヴァニラは「二人のダンス楽しみにしている」と一足先に出発し、私達兄妹は他のスタッフに案内されて会場に隣接した控室へと移動する。
パーティーの進行を務める司会者の言葉が漏れ聞こえてきて、いよいよだと思うと少しばかり緊張してきて、思わずノクトお兄ちゃんの右手をぎゅ、と握った。
「どした? 緊張してんのか?」
「ん…ちょっと。ノクトお兄ちゃんは? 平気?」
「へーき。ま、さすがにあんだけ練習すりゃあな。
もしルーティーンわかんなくなってもしっかりリードしてやっから安心しろよ」
「ありがとう…お兄ちゃん格好良い!」
「当然」
余裕たっぷりの笑みを浮かべるノクトお兄ちゃんの顔を見て心が落ち着く。
ほっと肩の力が抜けたところで司会者に名前を読み上げられたことに気付く。
「行くぞ。親父に良いとこ見せてやろーぜ」
「うん!」