【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第16章 決断
その返答に対して見せるイグニスの期待がこもった笑顔が眩しくて、グレイスはそこから目を逸らし、
今しがた出来たばかりの二人の隙間に視線を落とす。
今すぐこの温かく優しい腕の中にもう一度飛び込みたい、そう思った。
でも。それでも。
「でも…。ごめんね。イギーの気持ちには応えられない」
もう一度真っ直ぐ、イグニスの目を見てグレイスはこの言葉を続けた。
自身にかけられた責務を全て忘れて、愛に、恋に生きられる程、グレイスの心は幼くなかった。
王女としての自覚を放棄させるには…遅すぎたのだ。
「………グレイス…」
イグニスの表情が苦悶に歪む。
ここで気安く「なぜ」とか「どうして」とか言わない辺りに、聡い彼のことだからグレイスの気持ちを何となく察するところがあるのだろう。
それでもグレイスはあえて言葉に出して伝える。
自分を納得させるためにも。