【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第16章 決断
「好きだ…グレイス…。ずっと昔から、どうしようもなく、好きなんだ…!」
切なさを多分に含んだイギーの声が私の鼓膜を揺らす。
その瞬間、嬉しさと驚きと感動と…
もうとにかく色々な感情で、私の目から大粒の涙がぼろぼろと溢れ出した。
うそ、まさか。
ずっと、通じ合わないものだと思っていた。
だって、イギーはノクトお兄ちゃんの側近で、自分はふさわしくない・力不足だって言ってた。
イギーの優しさに何度も勘違いしそうになったけれど、それでも私は最初から恋愛対象外なんだって思ってた。
ずっとずっと一方通行のまま、誰にも知られずに一人終わらせるつもりの恋だった。
それが、まさか通じ合っていたなんて。
何年もの間、ありえないと思っていたことが、こんなことが自分の身に起こるなんて。
自分の立場も何もかも、どうなっても良いくらいの衝撃だった。
「グレイス…? っ、すまない、迷惑だったか…?」
何も言わず、ただ涙を流しているだけの私を心配したのか、イギーが腕の力を緩めて少し距離を空けた。
「そうじゃないよ…、私も同じ気持ちだから…すごく嬉しい」
涙でびしょ濡れの顔を横に振り、精一杯の笑顔を作ってそう答えた。