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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第15章 ダンスレッスン


一瞬、何が起きたかわからなかった。
鏡を見ると、イギーが私の膝裏に腕を入れて持ち上げた、いわゆるお姫様抱っこの姿勢で抱き上げ、全く軸のブレない安定した姿勢のままその場でゆったりと身体を回していた。
パートナーの女性を抱えて踊る、『リフト』と呼ばれる技だ。

回転の勢いで風になびき、ひらひらひらと大きく揺らめくロングのフリルスカート。
背中に添えられたしっかりとした腕から伝わってくる安心感。
絶え間なく舞い上がり美しい波を描き続けるスカートはとてもとても優美で非日常で。

鏡の中の自分が、今、この時だけはこの愛しい人のお姫様になれた気にさせる。


「ほら、グレイス…すごく綺麗だ」

鏡越しにイギーと目が合い、「そうだろう?」と耳のすぐ近くで囁かれる。

「……うん」

追い打ちをかけるようにイギーから与えられる胸の高鳴りとトキメキが供給過多過ぎて、上手く言葉が出てこない。

鏡の中から目の前のイギーに目線を移すと、イギーも直接私を見つめ返してくれた。
首に腕を回し、言葉に出して伝えられない想いを抱きながらそっと瞳を覗き込み

「夢みたい…」

やっと一言そう呟くと、イギーは自身の瞳を、磨きあげられた美しい宝石にも負けないくらいにきらきらと輝かせ、満足気に微笑んだ。

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