【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第15章 ダンスレッスン
今までとは違う楽しみ方で、二人一緒にワルツの旋律に揺蕩う。
これまでのような技巧的なステップには拘らず、見つめ合いながら、シンプルにボックスステップを踏みながら時間を過ごす。
「確かにこれは…雰囲気変わるね。
ずっと…この距離で見つめ合うのは…さすがにちょっとドキドキしちゃうな…」
少し困ったような顔をすると、イギーはやんわりと眉尻を下げて微笑んだ後、ダンスの動きを変えてくれた。
音に合わせて両手を繋いで左右に揺れたり、ホールドを離してイギーのステップと腕に導かれながら、高く上げた彼の右手の下でお人形のようにくるくると回ったり。
かと思えばするりと距離を縮められ、また腕の中へと引き寄せられる。
その間中、ずっとイギーの視線は熱を持ったまま私に向けられていて…
すぐ近くで目線が合うから、瞳を通じて想いを伝えられそう…。
この光景はどこかで…そうだ、
「プリンセス物語のダンスシーンみたい…」
「あぁ、まさにそうだな。
グレイス。グレイスのことはオレがどんなお姫様よりも綺麗に踊らせてやる」
そういうと、イギーは自分の右手と私の左手はしっかりと繋いだまま反対側の手を離し、二人が一直線になるようにバッと左右にお互いの身体を広げるリードをした、
その刹那。
「グレイス、おいで」
蕩ける程の甘さを含んだイギーの声が耳に響く。
その甘い甘いお砂糖のような声に思わず意識を持っていかれそうになりつつも、引き寄せるイギーの右手にスピンを促され、くるりと回りながら彼の腕の中へ戻りかけた瞬間 ふわり と身体が浮きあがったまま、景色が大きく動き出した。