【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第15章 ダンスレッスン
その後、徐々に回転の速度を緩め、熱の籠ったままの瞳でたっぷりと見つめ合う時間を取ってから、そっと床に降ろされる。
私の背中と膝裏を支えていたイギーの両手は、するりと上がってきて、今は私の両肩に置かれていた。
さっきと変わらず、ずっとイギーの瞳には何の熱かはっきりさせるのをはばかられる、
ともすれば自分に都合良く解釈していまいそうな熱が籠ったまま。
でもその瞳に宿る熱の名前は、きっと私もよく知っているもので…
きっと今、私も同じ熱を持ってイギーを見つめている。
これまで互いに隠し、抑え込んできた感情が。
イギーの熱を燃やす瞳から、
肩に置かれた手のひらの熱から、
通じ合ってしまった、ということを理解させる。
そのタイミングを見計らったように流れていた音楽が甘い余韻を残しながら静かに消えていく。
レッスンルームの空気を震わせる音が消え、シン…と静まり返った次の瞬間ーーー
どちらからともなく、積年の想いに引かれ合うかのように、飛びつく程の勢いで抱きしめあった。
息を吸い込むのも苦しい程に互いの身体をきつく、ほんの少しの隙間も紛れ込ませたくないと言わんばかりの強さで抱き寄せ合う。
衣擦れの音さえ起こさない程ぴったりとくっついた二人の間から、僅かにイギーの肺が動いて言葉を紡ぐ。
「好きだ…グレイス…。ずっと昔から、どうしようもなく、好きなんだ…!」