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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第15章 ダンスレッスン


「そうか…。相変わらず頑張り屋さんだな、グレイスは…。

グレイスもノクトもよく『平気』と口にするが、そう言いつつも実際にはそうでないことが多いからな…あまり無理をするなよ。

…そうだ。グレイスは社交ダンスのワルツと一言に言っても、競技ダンスと社交場で踊られるダンスには違いがある、という話は聞いたことあるか?」

一瞬、しんみりとしかけた空気を払うようにイギーが話題を変える。

「うん。ありがとう、イギー。
…ん? 知らないなぁ。何が違うの?」

「それはな、まず競技ダンスのワルツはいわゆるスポーツに分類される。対して、社交の場で踊るものは、コミュニケーションだと言われている。

今グレイスが練習している競技ダンスに基づいた姿勢だと、女性は大きく背中を反らせるから基本的に踊っている間、パートナーの顔は見えないだろう?

だが、社交場でのダンスであれば…」

ゆっくりとステップのスピードを落とし、立ち止まったところでイギーの右手が私のアゴ先に触れる。
そうしてクイっと顔の向きを変えられ…真っ直ぐにイギーと目線が交わる場所へと導かれる。

「こんな風に、お互いの顔を見つながら踊ることもある。

そうして、目線も含め男性は全身で女性をリードし、女性は全身でフォローを返しながらダンスを楽しむ。
それがコミュニケーションと呼ばれる由縁だ」

「ぁ、わ…、この距離で見つめ合って? とっても情熱的だね」

突然の顎クイも十分に刺激的だけどね。言葉に出すのは照れ臭いから黙っておく。

「そうだな。せっかくだから…今度はこうしてオレと踊ってくれないか?

そろそろ可愛いグレイスの顔を見て踊りたくなった」

「もう…またそんなこと言って…。

でも…うん、いいよ。リード、して?」

かなり近い距離で見つめあうので背の高いイギーを見上げるような角度になって首が少し痛いけれど、頑張って上げた目線の先にあるイギーの瞳がすごくすごく温かで…まるで愛しいものを見るような色をしていたから…、目を離したくなかった。

もう少しの間でいいから、この瞳に見つめられたい、そう思った。

「ありがとう。では音楽を良く聞いて…1、2、3、1、2、さぁ踊ろう」

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