【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第14章 牽制、苛立ち
だから、こうして一緒に踊ること自体は何も問題ないのだけれど、数ヶ月前から悩まされている生理からくる体調不良は空気もタイミングも読まずにやってくる。
(あー…貧血辛いなぁ…。レッスン終了まであと何分だっけ…)
段々と頭にモヤがかかってくるような、ぼんやりとする感覚がしてきて、ワルツの基本姿勢である背中を反らしてきちんと立つということすら辛くなってきた。
完全に気が散って、ダンスに集中出来ない…
さっきまで出来ていたことが出来ない。
朦朧とした頭で何とか言われた通りのダンスのステップの組み合わせを思い浮かべノクトお兄ちゃんのリードについていく。
ところが、不意にノクトお兄ちゃんのステップが止まり、私を支えている腕に力が入る。
「なぁグレイス、大分無理してねぇ? 足元ふらふらだし、さっきから顔色も悪いぞ」
「え…?
あ、うん…。ごめん、ちょっと貧血で…」
「やっぱな。つーか辛いならすぐ言えって。
センセー、悪いけど今日の練習ここまでにしてくんね? グレイス体調悪いって」
「あら、それはいけませんね。イグニス、グレイス王女をお部屋までお連れして。
ノクティス王子は予定時間まで私と練習を続けましょう」
「えぇっ!? オレだけ!?」
「もちろんです。ワルツは男性側のリードで出来不出来が変わると言われているのですよ。ですから王子にはきっちりと仕上げていただかないと」
「わ…ごめんねノクトお兄ちゃん…頑張って…」
「おーまぁこっちのことは気にすんなって。ゆっくり休めよ」