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【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)

第14章 牽制、苛立ち


いわゆる上流階級が多く参加するパーティーには、だいたい二つの側面がある。

一つは私のように何気ない会話に政治的策略などを含め広めること。

もう一つは、結婚適齢期になった男女の出逢いの場だ。

だから、イギーはまだこの春高校生になったばかりの年齢だけれど、次期国王のお側付きで将来有望な彼に我先に手をつけようとする女性が後を絶たない。


「こんばんは、レベッカ様。ご機嫌いかがですか?」

「きゃっ、イグニス様に名前を覚えていただけるなんて光栄で最高の気分です」


毎回大勢の女性に声をかけられているイギーから名前を呼ばれ、覚えめでたい人になったつもりかもしれないが、記憶力が飛び抜けて良いイギーにとってみればそんなことは何でもないことだ。

そうとわかってはいるものの、無邪気に、いや狙いすましてあざとく?喜んだ反応を見せたり、それに対して紳士的に対応するイギーの声を聞くのは決していい気分ではなかった。

…別に私はイギーの恋人でも婚約者でもないのだけど。
イギーを囲んではしゃぐ女性達を視界の端に捉えると、途端に胃が重くなり、もういっそのこと「好きな人が出来た」とでも言ってくれ、と投げやりな気持ちになる。

(そうしたらこの気持ちにも踏ん切りがつくのかな…? はぁ…)


それに加えて、女性というものは強かなもので、パーティーの途中

「王女はチャリティーに移民対策にと素晴らしいご活躍ですね。
数年後にはご結婚という形で王女としてどんな成果をルシスにもたらしてくださるのかしら。今から楽しみですわ」
「きっとグレイス王女なら、ルシスの国益になるような方をお選びになるに違いないわ」

なんて言ってくる。

「えぇ…そうなれるように努力致します」

自分で覚悟はしているものの、人からそう行動しろと言われるのは正直気に障る。

「まぁ~! こんなにお美しいのに自由にお相手を選ばず、国の為に尽くすなんて、王女の鏡ですわね~」

そしてこの白々しい嫌み。
録音してイギーに聞かせてやりたい。

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