【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第14章 牽制、苛立ち
とある週末の晩。私は王都城内のバンケットルームで行われている華やかなパーティー会場にいる。
小学生の時までは、必要最低限の伝統的な儀式などの式典にだけ参加していたが、中学に上がってからは、積極的にパーティー等に出席するようにしている。
ヴァニラの存在を周囲に広めるためだ。
ヴァニラの持ち前の人目を惹く可愛らしい見た目と、王の剣で鍛えられた胆力で大勢の人の前でもおどおどすることなくぴしりと整えられた立ち居振舞いは評判が良く、周囲にも思っていたより早く好意的に受け止められた。
広い視野と素早い判断が求められる戦場で積んだ経験も、周りの様子に気を配るこういう場においてとても相性が良かった。
「さすがグレイス王女、見る目がお有りだ」
「いいえ、彼女が有能なんです。王の剣の隊員をはじめとして、移民の方にはインソムニア市民とはまた違った視点を持った優秀な人が多いんですよ」
「ははは、謙遜までお上手とは。
それでは、私も移民の中からダイヤの原石を探してみるとしましょうか。実は先日我が社の面接に移民の青年が来ましてね…」
こんな風に、その場で直接アピールすることも重要だ。
発言する人間の位が高ければ高い程、こういう言動には価値が出る。
一人が方向を示せば、二人、三人と続いてくれる人が現れてくれるはず。
こういう自分なりの動機があるから、パーティーに出ること自体はそこまで億劫ではないけれど、それとは別に最近悩みがある。
「あっ、イグニス様~! 今夜もお会いできて嬉しいです!」
後ろから黄色い声が聞こえてくる。最近の悩みというのは…これ。