【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第12章 ブルーローズ
「移民を王女の侍女に登用したことに、初めは眉をひそめられたり、陰で揶揄されるかもしれない。
それでも良い。
時代に先駆けて何かを変えることが出来るのも、
大勢の人の注目を集めて影響を与えることが出来るのも、
王家の人間の特権だし、やるべきことだと思う。
…そうだ。去年の今頃、動画投稿サイトのチャリティーキャンペーンに一曲だけ演奏者が私ってわかるようにしたのもその一環だよ。
使える知名度は使わないとね」
凛とした大人びた表情を見せたかと思えば、
ちらりと舌を出しながら茶目っ気たっぷりな表情で
「本当はまぁまぁ反対されたんだけどね」と笑顔を見せるグレイス。
ころころと変わる表情はどれも美しく愛らしくて、目が離せない。
「それに…ルシスと帝国が争っている世界情勢が終わらない限り、移民も増え続ける。
インソムニア市民と比べて、移民の人達に技術の遅れや知識の差があるのは確かだけど、『移民だから』という理由だけでまっとうな職に就けないこともあると聞いた。
現状でも移民の生活困窮者が少なくないのに、これを放っておいたら次の子ども世代にも貧困が続き、広がってしまう。それは国として絶対に止めなくちゃいけない。
だからまずは今、ここから移民の道を広げ、社会的地位を上げたい。
…ま、そんな理由かな。
だからヴァニラには期待してるし、頑張ってもらいたいと思ってるよ。
式典の時でも私の一番近くに立ってもらってメディアにも写るようにしてもらわなくっちゃ。忙しいとは思うけど、イギーもフォローしてくれると嬉しいよ」