【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第10章 初挑戦
「…うん、美味しい!
バターとお砂糖の甘さで、全然ニンジンの味しないよ。
これならノクトお兄ちゃんも食べてくれそう!!
イギーも食べてみて!」
そう言うや否や、イギーの手がトレイに届く前に、私がイギーの分のクッキーをつまみ、ふーふーする。
最初より多少は冷めていたのだろうけど、ちょっとアチチと思ったのはヤセ我慢。
「さっきのご褒美のお返しで、イギーにもこのハートのクッキーあーん、してあげる。
今日は忙しい中私のお菓子作りに付き合ってくれてありがとう。
はい、あーん」
イギーの口の前にクッキーを差し出し、大好きな翠の瞳を見つめてお礼を言う。
一瞬、イギーのその瞳が驚きでやや見開いたような気がしたけれど、瞬きをした次の瞬間には、いつもの温かい笑顔に戻っていた。
「これはこれは…グレイス王女から直々にご褒美をいただけるなんて光栄です。
……なんてな。
ありがとうグレイス、いただくよ。」
プライベートの時間に珍しく『王女』呼びをされて一瞬「ん?」と思いはしたものの、イギーの口にクッキーを滑り込ませて少し緊張しながら感想を待つ。
イギーの好みにも合うといいな。