【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第10章 初挑戦
その後、無心になって生地を捏ねたことにより作業は順調に進み、今はクッキー生地を型抜きする段階まで進んだ。
厨房には星や花、ハートに動物と沢山の可愛らしい型抜きがあって、どれを使うか選ぶのが楽しい!
二人でそれぞれ好きな型を選び、色んな形のクッキー生地がオーブントレイいっぱいに並んでいく。
ニンジンの色がついたオレンジ色のクッキー生地が黒いトレイによく映える。
「綺麗に並べられたな。さぁ焼いていこう」
「うん! 上手に焼けるか楽しみだね!」
余熱を十分に済ませたオーブンにクッキー生地を入れ、洗い物をしながら焼き上がるまで他愛のない会話をして過ごす。
「そういえばイギー。この間作ってくれたパイケーキ、ノクトお兄ちゃんの感想はどうだった?」
「あぁ、あれか…残念ながら『違う』とハッキリ言われてしまったよ」
「そうなの!? あんなに美味しかったのに…ノクトお兄ちゃんってば厳しいんだから。
ねぇ、また時間があったら作ってくれる? イギーのケーキ、とっても美味しかったから!」
「もちろんだ、今度は違うフルーツで試してみようと思っていてな…」
一度作業に没頭したことで、さっきまでの変な力が抜けて自然に会話が弾む。
そうそう、思い出してきた。
イギーと過ごす時間はこんな風に穏やかで心地良いんだ。
洗い物も終わる頃、ふんわりと小麦粉が焼ける香ばしい匂いが漂ってきた。きっと完成まであと少し。