第10章 初挑戦

「イギー、これだよ…これしかない」
「あぁ…今日挑戦するメニューは決まったな」

私達は時間を確認して早速厨房へ向かった。



二人でレシピを確認しながら、必要な材料を集めていく。

「よし、これで一通り揃ったはずだ」

イギーが眼鏡のブリッジをクイと押さえながらしっかりと確認していく。

今日挑戦するメニューは、生地にすりおろしたニンジンを練りこんで作るニンジンクッキーだ。
このレシピが目に入った瞬間二人の心は決まった。
これを作ってニンジン嫌いのノクト（お兄ちゃん）にも食べてもらいたい、と。


「では、早速取りかかるとしよう。まずはしっかり手を洗って…」

イギーに習って私も石鹸をつけて手を洗う。

「グレイスも準備はいいか？　まずは材料を量っていこう」

「おっけー、じゃあまずは薄力粉から…。

…よし、次はお砂糖ね………え、お菓子一つ作るのにこんなに沢山のお砂糖入れるんだ…」

「そうだな。オレも最初見た時は驚いた」

「食べ過ぎには気を付けようって気持ちになるね…。
次は…ニンジンを擦りおろす、か。

まずは洗って皮を剥く………包丁で剥くの、ちょっと怖いな」

学校での調理実習の時はピーラーがあったけど、プロの調理人が集う厨房にはないのだろうか…いくつか引き出しを開けてみたけど見当たらなかった。