• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第3章 チェイスの賢い始め方※




「今更、変な質問しないでください」

・・・何故だろう。
沖矢さんは正体を知ってしまったせいか、素直に体が動いてくれた。

「誰にどこまで、何を聞いたのか知りませんけど。他人からの情報を簡単に信じるんですね?」

まあ、私も大概だとは思うが。

「ええまあ、それなりに信用できる方からの情報ですので」

信用できる・・・か。
スコッチとは相当親密だったということなのか。

だったら私も、やはりこの男とはどこかで会っている可能性が高い気もするが。

「勿論、貴女も信頼していますよ」

も、と言われてはいるけれど。
信用と信頼は違う気がする。

「・・・そうですか」

私がこの男を信用し、信頼できる日は、近い未来の話では無さそうだが。

「では、私はこれで」

・・・この判断が良かったのかどうか、まだ分からない。

結局私の独断で動いてしまったからには、私達や、あの人に不都合や迷惑がかからないようにしなくては。

「ひなたさん」
「なんですか」

適度な距離感を保ちつつ、近付き過ぎない。
バーボンのことだけでなく、私達の情報まで搾取されては元も子も無いから。

そんな敵意を向けながら沖矢さんの呼び掛けに振り向くと、人の良さそうな笑顔を浮かべながら、彼は手を軽く振って。

「また、明日」
「・・・・・・」

そう言って、私を見送った。

明日、会う約束なんてしていないのに。
まさかまた、ポアロに来るつもりだろうか。

できれば明日は会いたくない、と表情で返事をしながら玄関の扉を開いて。

工藤邸を後にすると共に、ポケットに入れていたスマホを素早く取り出した。

「・・・・・・」

何も考えず、ただあの人に電話を掛けた。

さっきまでの出来事を報告するつもりではあったけれど、それ以上に。

何か言いたいことがあるはずで、掛けていると思うのに。

その何かは、自分ではハッキリ分かっていなくて。

半ば不安という理由で電話を掛けていると言っても、間違いではなかった。



/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp