第13章 ノーカウントの数え方※
「ンぅ…、んん・・・ッ!」
この部屋はそこまで壁が薄いわけではないが、物が少ないせいか少し響く。
それが妙に羞恥心を掻き立てるので、自然と声を抑えようと体が反応した。
その結果、無意識に下唇を噛んで声が漏れ出ることを防いでいたのだが。
「ダメですよ、傷になります」
そっと彼の指が唇に添えられたかと思うと、ゆっくりと親指が口内に侵入してきて。
口を閉じようにも、彼の指が舌を軽く押して上手く閉じれなくなっていた。
「大丈夫ですから」
「ん、ぅ・・・っ」
口が閉じられないせいで、何とも情けない声を漏れ出して。
同時に口の端から唾液が僅かに流れ出た。
「・・・ッ、んン・・・!」
舌を押されているせいで、彼の指に自然と舌を這わせてしまう。
そのせいで何だか、口内まで浸食されているような気になった。
「・・・ひなた」
低く、優しく囁くように呼ばれて。
視線で返事をすると、彼はどことなく不安そうな、悲しそうにも見える目をしながら私を見つめて。
何か言いたいことがあるのか、と言葉にできない問いを心の中で呟いた瞬間だった。
「や、あぁぁ・・・ッ!!」
指、が。
彼の指が。
ゆっくりだが、確実に私のナカへと入ってきていて。
「ふっ・・・あ、あァ・・・っ!!」
昴さんとも経験したことなのに、あの時とはまるで違う。
これが・・・快楽なのかと、初めて思い知った気がして。
「嫌なら・・・呼んでください」
そう言いながら、彼の指は私のナカで動いていて。
ビクビクと痙攣する体は、自分ではどうしようもなくなっていた。
「ふ、ンぅ・・・ッあぁ・・・!」
知っているはずなのに。
この後、どういう感覚になるのか、どんな快楽が襲うのか。
全部、赤井さんと昴さんから教わったはずなのに。
・・・違うのは、何故。
「零・・・、れ、い・・・!!」
徐に口内から彼の指が外れ、咄嗟に名前を呼んだ。
もう、あの感覚が近いのだと目で訴えれば、彼は柔らかい視線で返事をして。
「んんっ、あ・・・ぁああッ・・・!!!」
焦らさない為か、私を一気に快楽の奥底へと突き堕とした。