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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第3章 チェイスの賢い始め方※




「僕と、協力しませんか」
「・・・はい?」

協力?
彼は今、そう言ったのだろうか。

単刀直入に話してくれるのは有難いが、突拍子も無いのは少し違う気がして。

「例の組織については存じ上げています。ですので僕と手を組んで・・・」
「ちょ、ちょっと待ってください・・・!」

この男、何をペラペラと喋っているのだろう。

さっきは自らただの大学院生だと言ってきたばかりなのに。
何故、組織について知っているのか。

逆に組織のことを知っていると分かって、こちらが気を許すとでも思ったのだろうか。

そもそも何故、私が組織に関わっていると知っているのか。

「何を言っているのか分か・・・」
「スコッチ」

私の言葉を遮るように一言、彼はとあるお酒の名前を口にした。

「知っていますよね?」

その瞬間、時も、呼吸も、全てが止まったような感覚に陥った。

「彼と、知り合いなんです」

そう話す、彼を見つめる目を見開いたまま固まってしまい、耳には彼の声と自分の心臓の音だけが響いてくる。

単純に知らない人が聞けば不思議な会話だと思うだろう。
酒と知り合いだなんて。

「いや・・・知り合いだった、と言うべきですかね」

そう言って向けてくる笑顔は酷く不気味で。
彼の言葉から察するに、スコッチのその後も・・・。

「始末したのは・・・ライ、という男でしたっけ」

・・・どうやら、知っているようだ。

それなら私のことも、それなりに知っていてもおかしくはないだろうけど。

・・・でも。

「その情報だけで、貴方を信用しろ・・・と?」

だから何だと言うのか。
余計に警戒心が働くだけだ。

「今すぐ貴女の信用が得られるとは、思っていませんよ」

・・・分からない。
掴み所が無いというより、そもそも触れることができないような。

不思議な感覚だ。

「・・・目的を、聞かせてください」

そもそも、利害が一致しなければ協力もできない。

けど、彼が組織のことを知っていると分かった以上・・・場合によっては野放しにできない。





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