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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※




「・・・あまりにも可愛い顔をされるので、連れてきてしまいました」
「っ・・・」

どうしよう。
どうしたら良いのだろう。

迷っている時間なんて無いのに。
今更、彼を受け入れるべきか否かで迷っている。

「・・・ひなたさん」

視線を奪うように名前を呼ばれれば、自然と彼と目が合った。

「これがひなたさんにとって変な事、に当てはまるようでしたら、これ以上何もしません」

私に判断を委ねているようで。

「でも当てはまらないと言うのでしたら・・・」
「・・・・・・」

答えは、決められている。

「・・・どう、します?」
「そ・・・」

それなのに、迷いがあって。

どうすれば良いのか、分からなくて。

「!!」

彼以外、何も見えなくなっている中。

突然キッチンの方からバイブ音が聞こえてきた。

それがテーブルに置いていた彼のスマホの着信だということには、2人ともすぐに気が付いた。

けれど彼は暫く私を見つめたまま、答えを待っているようで。

「スマホ・・・鳴ってます、よ・・・」

でも答えを明確に出すのは怖くて。
つい、そちらに気を向けるように言葉を吐いてしまった。

「・・・そうですね」

そうですね、ではなくて。

「出なくていいんですか・・・」
「ひなたさんより優先すべきものはありませんよ?」

欲しいのはそんな答えじゃない。
・・・それは彼も同じだろうけど。

「だ、駄目です、出てください。マスターからかもしれませんし・・・」

何を考えているのか分からない瞳で見つめられつつ、そう言いながら彼の体を軽く押すと、ようやく体を起こしてスマホの方へと向かって行った。

とりあえず、切り抜けた。
そう思ってしまった瞬間、後悔も押し寄せて。

なるべく許すなとは言われたけど。

覚悟してきたんじゃないのかと自分を罵れば、やはり私には無理なのではないかと落ち込んだ。

「・・・・・・」

務まらない。
それが悔しいのに、どうにもできない。

こんな自分が嫌いで仕方がない。




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