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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※




「っ・・・!」

露わになった首筋に指先が当てられると、スッと優しく撫でられて。

妙な感覚に体をフルッと小さく震わせれば、今度は彼の顔が再び耳元へと近くなって。

「ひなたさん」

・・・なんて声をするのか。

まるで催眠術にでも掛けられるように名前を呼んだ彼を横目で見ながら、表情を険しくさせた。

「変なことって、どんな事なんですかね?」

・・・おかしくなる。
ただでさえ、男が目の前にいて行先を塞がれているのに。

それがその上、バーボンで。

「し、知りませ・・・っ」

やはり数年前のあの時、私は逃げるべきではなかった。

克服しようとすればできたはずだ。
男性とこういう事をする時、体が強ばり動けなる事を。

・・・あの人にも、協力してもらっていたのに。

「ッ・・・」

一度は覚悟をして部屋を出たはずなのに、いざこうなれば心と体は拒んでしまう。

これは“今の私”として、どうなのだろうか。

「ん・・・っ」

痕が残っているであろう首筋に、安室さんの唇が軽く触れた。

その瞬間、擽ったさに似た別の感覚が、私の中に閉じ込めていた声を僅かに押し出してしまった。

「・・・ッ!」

妙に甘く、艶かしい。
不可抗力で出てしまったそれは、私に酷く羞恥を与えた。

その恥ずかしさを誤魔化すように口を手で塞ぎ、彼から視線を逸らすと、呼吸を落ち着かせることに集中した。

「・・・!?」

・・・かった、のだが。

「あ、むろ・・・さ・・・!」

座り込んでいた私を素早く抱き抱えると、何故か隣の部屋へと移動して。

キッチン側から漏れる明かりだけが、日が落ちて暗くなったその部屋を、ぼんやりと照らしていた。

その部屋に置かれていたのは、ベッドとテーブルと、何故かギター。

それらを一瞬で確認することだけはできた、が。
それ以外のことは何もできなくて。

「・・・!」

ベッドに優しく転がされると、逃れられないように、安室さんは私の上へと覆い被さった。




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