第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※
「もし空いていたら、食事でもどうかと思いまして」
・・・最近の日本人男性はこうなのだろうか。
それとも、特殊な2人にたまたま出会ってしまったのか。
「すみません、今日は・・・」
「残念ですが、彼女はもう僕との約束が入っているので」
どっちみち、断るつもりではいたけれど。
この沖矢昴の裏にはコナンくんがいるから。
念の為、小さく探りを入れてみたくはある。
けれど私の言葉よりも先に、何故か安室さんが沖矢さんに食いかかる勢いで言葉を挟んだ。
「・・・あまり、ちょっかいを出さないで頂けますか」
「おや、これは失礼」
ある意味、凄いと思った。
それは、カウンター越しに安室さんを見る、沖矢さんについてで。
安室さんが敵意丸出しなのに反し、沖矢さんは余裕そうな笑みを保ったままだ。
・・・私も、あれくらい堂々と出来れば良いのだけど。
そう、暫く彼を見つめてしまった。
「何か、ついてますか?」
「あ・・・っ、いえ!すみません・・・っ」
しまった、と慌てて賄いの準備へと戻って。
数秒ではあったが、ついボーッと立ち尽くしてしまっていた。
でもそれは、彼の崩さない表情にもそうなのだが。
何故か彼から、目が離せなかった。
それが何故なのかは、分からなかったが。
ーーー
あの後、多少険悪な雰囲気が続きながらも、何とか事をやり過ごして。
沖矢さんが帰った後、片付けをしながら彼が座っていたカウンター席に目を向けた。
「・・・・・・」
やはりあの男、どこかで見たことがある気がする。
それはこの間のコナンくんの事件の時とは別で。
もっと、ずっと前から。
どこかで。
「・・・ひなたさん?」
「は、はい」
隣から、意識を引き戻すように呼ばれた名前に、反射的に顔を向けた。
「大丈夫ですか?」
「何が・・・ですか?」
特にそう聞かれる覚えが無いと首を傾げると、彼はしていた作業を一旦止めて私に体を向けた。