• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※




「おはようございます」
「!」

ドアを開いた瞬間、声を掛けられた隣へ目を向けると、鍵を掛けようとしている安室さんの姿があった。

「安室さん・・・おはようございます」

彼もポアロへ向かう所か。

そう思いつつ、彼の気配の感じ無さに、自分の不注意さを思い知って。

「どうかされたんですか?」

一足先に鍵を掛けた安室さんは、鍵穴に鍵を差し込む私に、突然そう尋ねてきて。

「何がですか・・・?」

彼にそんな事を問われるような覚えが無いと、首を傾げた。

あくまでも人当たりは良い、如月ひなたとして。

「少し、元気が無いように見えましたので」

・・・これも彼なりの手口なのだろうか。
別に、安室透である彼に指摘されることは問題では無いけれど。

「そう・・・ですか?」

隙を見せてしまったかもしれない、という点では、良くない。
それはこの男に限った話ではないが。

「お店では気を付けなきゃいけませんね」

こんな事で寝不足になって、仕事に影響が出てはいけない。

ましてや今日は、この男と仕事なのだから。

「・・・ひなたさん」
「はい?」

鍵を掛け終え、2人で歩き始めるなり、安室さんから徐ろに名前を呼ばれて。

まだ何か言い足りないのか、と横目を向ければ、彼はチラリとこちらに視線を向けながら口角を緩やかに上げた。

「ちょっと、失礼します」
「・・・!」

そう言って私の首元に手を伸ばすと、徐ろに襟をクッと下げられて。

突然の事に思わず手を払い距離を取るが、その行動は如月ひなたらしく無かったと、我に返った。

「す、すみませ・・・」
「いえ、僕こそ突然触れてしまいすみません」

これも、私のペースを乱す為の何かなのだろうか。
・・・やはりこの男は何を考えているのか、分からない。

分かりたいとも思わないが。

「痕、どうなっているか気になりまして」

痕・・・あぁ、あの痕か。

さっきの彼の行動の方が驚き過ぎて、その言葉は意外と冷静に受け入れてしまった。




/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp