第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※
「言いましたよね?一目惚れしたと」
まさか、組織の人間だろうか。
だからどこかで会った気がするのか。
でもこの男から、そういう雰囲気は感じられない。
「実は貴女と出会うのは、今日が初めてではないんですよ」
やはり、初めてじゃない。
でも、一体どこで。
「昨日の夜、覚えていませんか?」
「昨日・・・ですか?」
昨日といっても、今朝方までコナンくんの一件があったから。
誰かと会うと言えば、事件の関係者、で・・・。
「・・・あ!」
一気にフラッシュバックした映像を脳内で流すと、沖矢さんと一致する人を発見した。
そういえば昨日、安室さんの車でコナンくん達を追い掛けている途中、すれ違った車に乗っていた。
姿勢を低くしていた、あの男。
「あの時の・・・!」
「思い出して頂けたようで、何よりです」
笑みを深める沖矢さんと、眉のシワを深めるコナンくんを同時に視界に入れては、尚更この男が何者なのか分からなくなった。
「現在、訳あって阿笠博士の隣の家に住んでいるんですが、その阿笠博士の家にお裾分けに行きましたらコナンくんが大変なことになっていると聞きまして」
その後、阿笠博士の車は修理に出していた為、沖矢さんの車で追いかけることになったことを聞いて。
「それで、コナンくんとはどういうご関係で・・・?」
阿笠博士の家の隣といえば、あの工藤家だ。
何故そこに彼が。
「話せば長くなりますが」
だから今は話すつもりがない、と言うように笑顔で返されれば何も言えなくなって。
代わりにコナンくんへ視線を向けるが、彼は気まずそうに私から視線を外した。
「・・・・・・」
なるほど。
やはりコナンくんは、沖矢さんに私を紹介したことに後ろめたい理由があるようだ。
「そういえばコナンくん、昨日は大丈夫だったの・・・?」
視線を外されたことは気にせず、それとなく彼に尋ねれば、チラリと上目で視線を私に戻してきて。