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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第13章 ノーカウントの数え方※




「僕は別に、体を重ねることが目的ではありませんから」

そう言いながら振り向き、私の頬に手を伸ばしてくる彼の目を見て何となく・・・降谷零という人物がどんな人なのかを察した。

「・・・・・・」

彼は思う以上に、目で事を伝えてくる人なんだ、と。

「・・・いえ」

だからこそ、知りたいと思った。

彼がどんな人なのか。
彼にとって体を重ねることに、どんな意味があるのか。

・・・彼が、私の恐怖を軽くしてくれるのか。

「ひなたさ・・・」
「零」

視線を落とし、俯いていた私を覗き込もうとした彼より先に、顔を上げて名前を呼んだ。

それに驚いたのか、覚悟を決めた私の表情に目を丸くしたのかは分からないが、彼が意表を突かれた表情をしていたのは間違いない。

「・・・!」

そんな彼を見つめながら服を掴むと、そのままグッと引き寄せて。

意を決しながら瞼を固く閉じ、唇を触れさせた。

あれ程大事に守っていた物なのに、1度許せばこんなものか、と呆気なくも思った。

彼から触れさせるキスと、自ら仕掛けるそれでは何かが違う事を脳裏で感じながら、そっと唇を離して。

「これが・・・私の覚悟です・・・」

彼が目で伝えるのなら、私は行動で示そう。
口や目では、伝えることは難しそうだから。

それに、その方が彼も安心感を覚えてくれそうだったから。

一応視線でもそう伝えるように見つめてみたが、唖然とした彼の表情が数秒後には困ったものに変わって。

「・・・貴女って人は本当に・・・」

またしても大きなため息と共に、そう吐き出して。

「す、すみません」

流石に、はしたなかっただろうかと慌てて服を掴んでいた手を離すが、彼はその手を即座に掴み直して。

「・・・愛していますよ」

笑みの無い、真剣な表情で甘い言葉を吐いた。

私の謝罪はどうなったのだろうかと思う程脈略のないそれに思えたが、彼の目が、私がそれ以上の言葉を吐くより前に跳ね返してしまった。




 
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