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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第13章 ノーカウントの数え方※




「・・・・・・」

ゆっくりと触れ合っていた唇が離れると、物悲しさのようなものを感じた。

まるで体が、先程の熱を欲しているようで。

心臓はドクドクと大きく音を立て、体全体が脈打っているようだった。

「・・・大丈夫ですか?」

彼の目が見られず、俯いたままだった私の顔を覗き込みながら、彼は少し嬉しそうな声で尋ねてきた。

「何が・・・」

声色と言葉が合っていないようだが、と彼に目を向けた瞬間、言いかけた言葉は軽い唇の感触で遮られて。

それと同時に聞こえてきたリップ音に、思わず驚き目を丸くしてしまった。

「顔が、真っ赤なので」
「・・・ッ・・・」

思わず手の甲で唇に蓋をし、顔の半分を隠してみたが。
もう遅すぎることは分かっていて。

顔の熱がどんどん広がり、顔どころか体まで熱くなり、心臓の音も速く大きくなるようだった。

「ちょ、ちょっと離れてください・・・」

この距離がダメなんだ。
彼の射程圏内。

とりあえず距離を取って冷静になる為、彼の体を押してみたのだが。
いつの間にか腰に回された彼の手が、それを拒んだ。

「何故ですか?」
「何故って・・・」

押したことで少しは距離が取れたのに。
いとも簡単にその距離を戻されると、再び背中はベッドへと着いていて。

「理由を聞かせてください」

・・・楽しんでいる、この状況を。
それは表情を見れば嫌でも分かった。

私も、これくらいの余裕があれば良かったのに。

「僕が嫌だから・・・ですか?」

惚れた弱み、なんて言うが。
だとすれば彼の方の弱みになるはずなのに。

何故私がこんなにも追い込まれているのか。

「・・・その聞き方、ズルいですよ」

分かっているくせに。

「僕はただ、理由が聞きたいだけです」
「・・・・・・」

何が何でも言わそうとするのが、彼らしい。




 
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