第13章 ノーカウントの数え方

「えっ･･･と･･･」

沈黙は肯定と取られるのに。
そうではないとすぐに否定ができないのは、私の中で不安が拭えないからだろうな、と目を伏せて。

「･･･！」

そうしていると、透さんは体を僅かに浮かし、鼻先が触れそうな位置で私を見つめてきて。

あまりにも近すぎるそれに戸惑い、僅かに顎を引いて距離を取った瞬間。

「好きです」

少し低く、言い聞かせるような声色で、力強く告白の言葉を口にした。

「ッ･･･」

何度も聞いたその言葉だったが、今までとは雰囲気の違うそれに、緊張感のようなものを感じ取った。

「これは嘘ではないです。命を懸けて誓います」

そこまでしなくても良いのだが･･･。
それに、言葉だけで気持ちは強く伝わってくる。

「･･････」

ただ･･･。
彼が私をFBIだと知ったら？

気持ちは変わらないと言えるだろうか。

「･･･ひなたさんの気持ちは、どうですか」

彼の問いかけに、心の中を見られたのかと思った。
いや、本当に見ているのかもしれない。

昔から彼は･･･そういう人だ。

「まだ、かもしれない･･･のままですか？」

･･･そういえば、透さんへの気持ちはそう伝えたままで終わっていた。

私もそれ以上の感情を持つことは無いだろうと思っていたが。

「･･･多分、もうとっくに」

きっと、自分でも気付かないタイミングで。

「好きだったんだと･･･思います」

視線こそ外してしまったが、嘘ではない。

きっと、自分の中で彼だけは駄目だという自制と、彼を信じ切れていなかった気持ちが、あやふやにさせていた。

それを取り払って、本能だけで彼を見れば、気持ちの答えなんて、きっともうとっくに出ていた。

「･･･っ！」

私の答えを聞いた瞬間、透さんは私の体を突然強く抱きしめて。

先程までとはまるで違う、荒々しさを感じるそれに驚き目を見開いた。