• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第13章 ノーカウントの数え方※




あの後赤井さんは、この傷を作った人間に心当たりがあるから心配するなと言った。
だから私もそれ以上考えることが無かったが。

そうか・・・あれは公安の人間だったのか。

ということは、あれは透さんの指示で・・・。

「・・・!」

そこまで考えてようやく。
私の目の前に座る彼の貼り付けたような笑顔の意味が分かって。

目を丸くする私に、透さんは指を組んで机の上に置いた。

「聞きたいこと、聞いてください」

覚悟を決めたような声色と表情。
笑顔なのに、真剣さがにじみ出るそれに、思わず言葉を詰まらせた。

「できる限り、お答えします」
「・・・・・・」

一番彼の口から聞いておきたかったことは、もう聞いてしまった気もするが。

「さて、何から話しましょうか」

彼の言うしたかった話というのは、これなのだろうか。
で、あれば何故このタイミングだったのだろう。

でもこれで情報が手に入るのなら・・・と、自分の気持ちにはそっと蓋をした。

「・・・この傷を作ったのは、透さんの仲間・・・という事ですか?」
「正しくは部下です。本当にすみません」

その返答に、本当に隠す気が無いのだと察した。

私は彼が公安だと知っているが、その事実を彼は知らないはずだ。
なのに彼は易々と、部下だと答えた。

「何の為に、私を足止めしようとしたんですか?」

だとしたら、私の正体にも気が付いている可能性が高いが。
・・・私にはまだ、自らそれを明かす勇気は無かった。

「・・・ここで貴女と離れてしまったら、もう2度と会えない気がしたので」

それが真実の答えかどうかは、言葉だけだと怪しいと思っただろう。
でもやはり彼の表情が、真実なのだと訴えてくる。

「次に会えたら、全てを打ち明けるつもりでいました」

・・・だからこうして、明かしているということなのか。
でもそれは同時に。

私も同じように正体を明かしてほしいと言われているようで。




 
/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp