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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第13章 ノーカウントの数え方※




「・・・ひなたさん?」

返事をしない事を不審に思ったのか、今度は昴さんがドア越しに呼んで。

「開けますよ」

それでも返事ができないでいると、数秒後にはそう断りを入れて部屋の扉が開かれた。

「と、る・・・さん」
「ひなたさん!」

部屋の隅で丸くなっている私を見つけた透さんは、私に駆け寄ってきて。
その背後から、昴さんも様子を伺っていた。

「・・・我々が、怖がらせてしまったようですね」

昴さんのその推測に、透さんは視線を一度昴さんに向け、すぐに私へ向け直した。

彼らは何も悪くない。
私が払拭し切れていないからなのに。

透さんに、こんなに苦しそうな表情をさせてしまった。

「・・・・・・っ」

何と声を掛けるか、触れても良いのか。
戸惑いを見せる透さんへ顔を向けると、彼の背後から昴さんがスッと近づいてきて。

何の戸惑いも無く私を抱きかかえると、傍にあったベッドへと座らせた。

「・・・すまなかった」

下ろす直後、耳元で私にしか聞こえないような声量で昴さんはそう言って。

微かだったせいか、それはどちらかというと赤井さんの声に近かったと思う。

私をベッドに下ろした後も、昴さんは私の目の前にしゃがみ、静かに様子を伺ってくれて。

そのおかげか、冷静さを早めに取り戻し、体の震えはすぐに落ち着きを見せた。

「大丈夫ですか」
「・・・はい」

数日前、あの男達の件があったからだろうか。
足音だけでこうなるのは、久しぶりだった。

昴さんの問いかけに返事をすると、彼はゆっくりとその場に立ち上がった。

「・・・すみません」
「いえ、透さん達のせいじゃありませんから・・・」

事情を知る透さんも察しての事か謝罪を口にするが、寧ろ謝るのは私の方だ。

そう思って透さんに目を向けるが、彼は俯き拳を固く握り、私と目を合わせようとしなかった。

「では、ひなたさんも大丈夫そうなので、私は出掛けますね」

話しながら昴さんは、ドアの方へとゆっくりと足を進めて。

そういえば、用があると言っていたな。
だから透さんをここに呼んだのだろうか。

私を1人にしない為に。
・・・というのは考え過ぎか。




 
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