第13章 ノーカウントの数え方※
「俺ではなく、安室君に会いたいか?」
「!?」
どうやら今日の彼は、私に大人しく紅茶を飲ませる気は無いようだ。
紅茶が体内の入ってはいけない場所に入ると、何度か咳込んでしまって。
「ど、どうして透さんが度々出てくるんですか・・・」
任務を忘れていないかの確認だろうか。
だとすれば杞憂だが・・・なんてぬるい考えをしていると。
「付き合っているんだろう?」
「!!」
あまりにも冷静に、淡々と問われるから。
心臓を鷲掴みにされたまま呼吸を止められた感覚に陥った。
「ど、どうしてそれを・・・」
「やはりそうか」
目を見開き驚く私を、引き続き楽しそうに彼は笑みを浮かべていて。
・・・やられた。
相手はあの赤井さんなのに。
完全にブラフに引っ掛かってしまった。
「・・・ズルいですよ」
「そっくりそのまま返そう」
こちらもなんとなく気付いているのではと思ってはいたが。
こんなバレ方をするなら、早く言ってしまえば良かった。
「君から言い出すと思っていたがな」
正直、私にその実感がないから言わなかったのもある。
単なる口約束のようなもので、その繋がりに確実性が見えていなかったから。
「・・・・・・」
ここに居る間、あまり考えないようにしていたが。
・・・透さんも、無傷ではないだろう。
気には・・・なるが。
「今は・・・正直、会いたくありません」
FBIに対する敵意。
今回の件で、間近でそれを感じてしまった。
透さんが私のことをFBIの人間だと知る日は、そう遠くない未来だとも感じている。
寧ろ、もう知っているかもしれない。
そんな状態で彼に会う事は・・・情けなくも怖い。