第2章 瓶詰めの記憶の流れ先※
「推理って程ではありませんよ」
後者・・・つまり何か意図のある質問だ。
「いえいえ。下駄箱や洗濯物を見ただけで違和感に気付けるのは、凄いことですよ」
「そうですか?女性が女性の物を探すのは自然だと思いますけど・・・」
私がウェルシュだろう?と、問いたいのだろうか。
ならこの際、直接聞かれた方がまだマシだ。
息苦しいこと、この上ない。
聞かれた所で、首を縦には動かさないけど。
「その上、あんな現場を見ていながら叫び声の一つも上げなかったのにも驚きました」
話を進めつつ、歩く足も止めない。
その歩幅も、自然と私に合わせられている。
こういう所が・・・正直苦手だ。
「毛利さんの事務所でも言いましたけど、初めてではないので」
「慣れる程、そういった場面に?」
ああ言えばこう言う。
そういった所はとてもバーボンらしく思える。
「いえ、数える程度です。コナンくんや毛利さんの近くに居ると、何故かそういうことに巻き込まれやすいんです」
だから時に、彼らは死神なんて呼ばれることもある。
でもそれは彼らが事件を引き寄せていたら、だ。
事件が彼らを呼んでいるのなら、救世主とも言えるのではないだろうか。
少なくとも私はそう思っているが。
「へえ・・・流石は眠りの小五郎ですね。事件が彼を呼んでいるんですかね」
・・・成程、バーボンはそう思うのか。
救世主だと考え、且つそれは毛利小五郎1人を示した。
私は〝彼ら〟だと考えたけれど。
「それに、あの音を聞いただけで発砲音だと分かるとは」
・・・そう言えば、口にしてしまっていた。
あの時は蘭さんに言ったつもりだったが、それがこの男に聞こえていてもおかしくはない。
「発砲音も聞き慣れる程?」
「・・・毛利さんが、部屋でクラッカーボールを投げるような人ではないと思っただけですよ」
全く音が違うものではあるが、よく聞き間違えられるものでもある。
この銃規制の厳しい平和な日本では、特に。