第12章 LikeはLoveか、別物か
まだ車軸には爆弾が残っている・・・それが爆発すれば、ここにいる全員ただでは済まない。
「・・・?」
どこまで行っても腐った考えをする集まりだ、と怒りが沸き上がる中、隣にいたはずの彼に視線を向けると、何故かしゃがみ込んで赤井さんのライフルバッグに詰めた爆弾を手にしていた。
「大体の形が分かれば良いんだったよな!」
彼の言葉、行動を見て察したが。
それが上手くいくのだろうかという不安と、手元の爆弾すら利用する考えを持ったことに、悔しさに似た感情を覚えた。
「よし・・・」
手元の隙間から、爆弾のタイマーをオンにする様子が見えて。
それをライフルバッグに詰め直すと、素早くチャックを閉め、赤井さんとコナン君に向かって叫びながら勢いよくヘリの方向へと投げた。
「見逃すなよ・・・ッ!!」
小さいと言っても、それなりに威力はある。
爆風に備え姿勢を低くし、赤井さん達に目を向けた。
「・・・ッ!」
数秒後、爆弾は宙で勢いよく破裂し、その習慣に現れた閃光がヘリを僅かに照らした。
その数秒後には、コナン君がどこからともなくボールを出現させ、ヘリへと向かって蹴り上げていて。
何故かそのボールはヘリに衝突すると、空で大輪の花火を咲かせた。
「!!」
その瞬間に聞こえた銃声を、私は聞き逃さなかった。
赤井さんが撃ったのだとすぐに分かる、彼の銃声。
「やったか・・・!」
それは間違いなくヘリに当たり、黒煙を上げた。
それを見て透さんは期待の言葉を漏らすが・・・私の胸はざわついたままで。
アレに、もしジンが乗っていたら。
これは焚きつけに過ぎないのではないか、と。
「・・・っ・・・!!」
やはり、私の悪い予想はとことん当たる。
一度落ち着きを見せていたヘリからの銃撃は、勢いを増したようにも見える形で再開された。
ヘリからは濁った煙が噴き出されているが、気に留める様子も無く、観覧車の車軸を狙って銃撃は続けられた。