第12章 LikeはLoveか、別物か
「反撃の方法は無いのか!FBI!!」
すぐ隣でそう声を荒げる透さんに、自然と体がピクっと反応してしまった。
私に言っているわけではないが、間違ってもいない。
何もできないのかと言われているようにも感じ、柵を掴む手の力が強まった。
「あるにはあるが、暗視スコープがお釈迦になってしまった」
暗視スコープが?
と、私が心配するよりも先に赤井さんは、あるにはあるという微弱な希望を与えた。
「使えるのは、予備で持っていたこのスコープのみ。これじゃ、どデカい鉄の闇夜のカラスは落とせんよ」
ただその希望は本当に微弱なもので。
この状況を打開しなければ、どうにもできないことは変わらないようだった。
「姿が見えれば落とせる?」
「ああ」
コナン君の問いに、赤井さんは力強く答えた。
その姿に心強さを感じた半面。
「でも、どうやって・・・」
「ローターの結合部を狙えば恐らく」
その姿を彼に見せる方法が、私には見つけ出せない。
・・・せめて、私が暗視スコープの予備を持っていれば、なんてたらればまで出てきてしまう始末で。
「結合部なんて見えなかったよ!?」
普通、暗視スコープで見えたからと言って、狙う事などほぼ不可能だ。
それに、ローターを狙うなら向き合っていては難しい。
ただでさえ闇夜な上に、相手は真っ黒なヘリだ。
ある程度訓練した狙撃手でも無理だろう。
・・・赤井さんでなければ。
「照らすことはできそうだけど・・・大体の形が分からないと、ローター周辺には・・・」
辺りを見回し、とにかく使えそうなものがないか確認していると、コナン君から耳を疑う言葉が聞こえてきた。
照らすことは・・・できる?
一体何を隠し持っているのかとコナン君に視線を向けた直後だった。
「!!」
少しの間静まっていた銃撃が、今度は一点を集中して撃ってくるようになった。
それがどこを狙っているかなんて、嫌でも分かった。
「車軸を・・・狙ってる・・・」
確実にここを落とす気だ。
それと同時に、嫌な考えもついて来てしまった。