第12章 LikeはLoveか、別物か
「・・・ッ」
はずだった。
痛みや衝撃に耐えるため、瞼は反射的に閉じられていて。
予想していた衝撃が来なかったことに対して疑問を持ちながらゆっくり瞼を上げれば、体は空中で左右に揺れていた。
透さんに掴まれた、私の腕を軸にして。
「大丈夫ですか・・・!」
私の右腕は、彼の手の跡が残りそうなほど強く握られていて。
藁にも縋るというのは本当に反射的な動きの様で、意志とは反して掴まれていた彼の腕へ、しがみつく様に握っていた。
「透さ、ん・・・っ」
落ちれば十数メートルは落ちる。
無傷では済まない状況に、流石に力が入った。
「しっかり掴んでおいてください・・・っ!」
軽々そうに見えるが、見た目以上に引き上げるのには力がいる。
彼の表情や腕の筋から伝わってくるそれに申し訳なさを感じながら、彼の立つ足場へと引き上げられた。
「怪我はありませんか?」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
僅かに乱れた呼吸を整わせながら、彼は私に気づかいの言葉を掛けて。
物陰に身は潜めたが、熱感知では逃れられない。
そう、思っていたが。
「・・・狙いが、逸れてる?」
数秒間、銃弾が落ちる先を感じ取っていると、確実にそれが遠のいているのが分かった。
理由は分からないが、動くなら今しかない。
透さんと視線を合わせると、お互いそれ以上の言葉は必要としなかった。
急いで立ち上がり、開けてヘリが確認できそうなところまで駆け上がった。
「如月さん!」
「・・・!」
月明かりはあるが、ヘリは音だけだ。
胴体が黒いせいで、目視ではろくに姿すら確認できない。
ここからどうしろというのか、とヘリから出る暴風に耐えていると、どこからともなくコナン君が私を呼ぶ声が届いた。
その声の方へ柵から身を乗り出し目を向ければ、彼は赤井さんの傍に居て。
・・・良かった。
コナン君も赤井さんも、怪我は無さそうだ。
「そのライフルは飾りですか!!」
彼らの無事を安心する私の傍から、透さんは赤井さんに向かって挑発的に言い放って。