第12章 LikeはLoveか、別物か
「赤井は何をしているんだ・・・っ」
言葉の真意は違う気がするが、私も心の中では同じ言葉を思っていた。
この状況で赤井さんは、どこで何をしているのだろう。
きっと、私の予想の中では納まらない行動を取っているのだろうけど。
「こっちだ!」
崩れ落ちている足場を確認する中、透さんは爆弾を回収してきた方へと私を呼んで。
今はどうこう考えている場合でもないかと、反射的に彼について行った。
気付いたのは、その最中だった。
「・・・!」
狙われている。
確実に、こちらを。
この暗闇の中、増してやヘリの中から人影を確認することなんてできるはずがない。
恐らく・・・熱感知でこちらの人影を撃ち込んでいる。
誰かも確認せず。
それが一般人であろうと、彼らにとっては関係ないのだから。
この状況は透さんにも勿論分かっているようで。
であれば、ここは。
「ここは別行動に・・・っ」
二手に分かれるのが最善だと考え、提案しようとした。
きっと彼もそうすると思ったからで。
「ダメだ!」
けれど、彼から返ってきたのは、強い口調で私の提案を掻き消すような言葉だった。
そんな言葉が返ってくるなんて、それに、そんな怒ったような表情を向けられるなんて、思っていなかったから。
「傍を離れるな・・・ッ」
切実な願いにも聞こえるそれと共に、いつもの口調ではない彼に少し恐怖に近いものを感じた。
・・・私の知っている彼ではない。
いや・・・それ以前に。
私の知っている彼とは、誰なのか。
「とお・・・」
足は止めない。
が、組織からの銃撃も同じで。
「!?」
的確に足場を削られていたらしく、踏み込んだ先のそこは無残にも崩れ落ちて。
踏み込んだ片足が落ちてしまうと、立て直すことは難しい。
咄嗟にその先の柵に捕まろうと手を伸ばすが、届くはずも無く。
スローモーションのように感じたが、確実に体は下へと堕ちていった。