第12章 LikeはLoveか、別物か
「でもコナン君が・・・」
「彼なら大丈夫ですよ」
何が何でも、私をここに留めるつもりなのか。
コナン君の行く末を知っているからこその言葉なのか、信頼だけでの言葉なのかは知らないが、いずれにせよコナン君に対する不安は無いことだけは分かる。
それが今の私には少し、惨めにも感じられて。
「5分で戻ります。それまでここを動かないでください」
・・・信用が無いのだろうか。
だとしたら、私がFBIだと明かせば、この見えない拘束は解かれるのだろうか。
「約束・・・できないと言ったら?」
コナン君も探したい。
赤井さんの元にも向かいたい。
こんな所で止まっている暇は無いのだと目で訴えるが。
「貴女なら居てくれると、信じていますから」
そう言い残して、透さんは姿を消してしまった。
「・・・っ」
迷いはあった。
彼の言葉に背いて、動くことはできた。
でも・・・できなかった。
その理由を、何度も、何度も、何度も、探したけれど。
分からなかった。
ここを動けない理由も、彼が私をここに留めた理由も。
「・・・・・・」
ただ何もしない訳にはいかないと、ささやかな抵抗のようなもので、近くにあった爆弾を回収しに向かった。
最初の消火栓が見える範囲からは離れず、あくまでもそこから目の届く位置の物を。
透さんの言った5分では1つしか回収はできなかったそれを片手に消火栓の元まで戻ると、透さんも程なくして姿を見せた。
「・・・信じていましたよ」
私の姿を見るなり、どこか安堵したような柔らかい表情を向けながら、そう言って。
これが惚れた弱みとでも言うのだろうか。
だとすればこの感情は相当厄介なのだなと悟った。
「ッ!?」
強味にだってなるはずなのに、と何も言葉を返せないでいると、またしても足場が大きな揺れを作った。
今度はけたたましい銃撃の音と共に。
「く・・・っ」
遂に仕掛けてきた。
このままここに居ては危険だ。
早く赤井さんに合流しなければ。
けど、隣にいる彼が私の行動を許すだろうか。
近くの柵に捕まって体勢を整える中、透さんに目をやれば、回収してきた爆弾を何故か赤井さんのライフルバッグに詰めて背負い込んだ。