第12章 LikeはLoveか、別物か
「友人に、色々教えられたんだよ」
詳しくは語らなかったが、透さんはどこか懐かしい人を思い浮かべるような表情で、そう話した。
友人、か。
私にはあまり、そう呼べる人がいない。
一応、形だけに近い付き合いを始めた私達だが、彼のことは殆ど何も知らないに近いことを、改めて思い知った。
「ウェルシュ」
気付けば目を伏せていた中、赤井さんは私の事を懐かしい名前で呼んで。
組織いた頃までの関係だと思わせるには、確かにそうするのが有効だが。
どこか少し、複雑な感覚が体を襲った。
「そこに工具が入っている。解体は任せたぞ」
ライフルを持った赤井さんが、自身のライフルバッグを蹴り渡して。
任せた・・・という事は、私はここに残るということなのかと目で尋ねるが、何故か視線を合わせてはもらえなかった。
「赤井さんは?」
色んな理由からの胸騒ぎを抑え込みながら、渡されたライフルバッグに手を伸ばすと、コナン君が赤井さんに今後の行動を尋ねて。
「爆弾があったということは、奴らは必ずこの観覧車で仕掛けてくる。そして、ここにある爆弾の被害に合わず、キュラソーの奪還を実行できる唯一のルート・・・」
「・・・空から、ですか」
赤井さんの言葉に続けたのは、以外にも透さんだった。
確かに、空から以外は考えにくいが。
赤井さんは何をする気なのだろう。
「そうだ。俺は元の場所に戻り、時間を稼ぐ。何としても、そちらで爆弾を解除してくれ」
「ふん・・・、簡単に言ってくれる・・・」
・・・なんだろう。
この少しむず痒くもある感覚は。
赤井さんと透さんが普通のように見える会話をしている違和感。
そして、言葉以上に別の感情を感じるのは、気のせいなのだろうか。
そんな事を考えながら一度透さんに視線を向け、再び赤井さんに視線を戻したが、もうそこに彼の姿は無くて。
「・・・・・・」
本当に置いていかれてしまった、と一瞬眉を寄せたが、時間に余裕がない中で考えている暇は無いと、ライフルバッグから手早く工具を取り出した。