第12章 LikeはLoveか、別物か
「上手く組織から抜けられたようで何より」
「・・・おかげさまで」
咄嗟だったが赤井さんからの言葉に、そう返事をして。
組織から赤井さんが逃がした、FBIではない誰かとして透さんには示すことができた。
・・・と、思うが。
「・・・・・・」
背後の沈黙が、私の心拍数を再び高めた。
コナン君には事前に何も言っていなかったが、察しの良い彼にはそんな事不要なようで。
余計な口出しも何もしなかった。
「それで?状況はどうなんだ、FBI」
今、私の正体に気を取られている場合ではない。
不幸中の幸い・・・にしては不幸が大きすぎるが、透さんの呼びかけに反応して、改めて赤井さんに視線を向けた。
「非常に上手く配置されている。全てが同時に爆発したら、車軸が比重に耐えられず連鎖崩壊するだろう」
・・・車軸にまで。
最初からここは崩壊させるつもりだったのだろうか。
そうだとしても。
「成程、悩んでる暇は無さそうですね」
透さんの言葉通り、悩んでいる暇も止まっている暇も無さそうだ。
彼は手早く消火栓を開け、中にあったホースを真ん中から両手で掻き分けた。
「これか」
その中の物を確認すると、構造を見るように視線を動かして。
私もその中の物が気になり、コナン君の後ろから覗き込むようにそれを確認した。
「どう、解除できそう?」
「問題ない、よくあるタイプだ。解除方法は分かるよ」
心配そうに尋ねるコナン君に、彼は力強い口調で答えた。
確かに、構造としては複雑なものではない。
無数のコードがここに集まっている事を考えると、これを止めれば多数の爆弾が止められるだろう。
・・・それより。
「へえ・・・爆弾に詳しいんだね、安室さん」
私の脳内の考えと、コナン君の言葉が一致して。
爆弾処理に関する部署にいたという話は聞かないが、と爆弾を確認するように、そっと手を伸ばす彼に視線を落とした。