第12章 LikeはLoveか、別物か
「あとはコイツの解体に、どれだけの時間を貰えるかだな・・・」
持っていた工具を彼の横に広げながら、そう呟く透さんにそっと目を向けた。
「・・・・・・」
・・・安室透ではないな。
その姿を見て素直に出てきた感覚はそれだった。
安室透ではない、公安警察としての彼。
降谷零としての横顔だと感じた。
「!」
透さんとの会話は無い中、隣にいたはずのコナン君が突然、どこかに走り始めて。
「コナンくん!?」
何をしに行くつもりなのかと、静止するよう手を伸ばして名前を呼ぶが。
「ノックリストを守らないと!」
走る足を止める事なく、観覧車内部へと姿を消してしまった。
透さんは一人でも平気だ。
だとすれば彼を保護する方が優先だと判断し、工具を置いてコナン君を追いかけようとしたが。
「ここに居てくださいと、言ったはずですよ」
透さんに腕を掴まれ、私の方が静止させられてしまった。
その瞬間、私は咄嗟に彼を見たが。
彼は私に視線を向けず、爆弾に視線を落としていた。
「・・・・・・」
少し、冷たくも感じる対応。
まるで、公安警察に捕まった犯罪者のような気分だ。
「コナン君なら大丈夫ですから」
私に言い聞かせるように。
落ち着いた声色でそう言うと、掴んでいた手をそっと離して。
赤井さんの工具に手を伸ばすと、静かに爆弾の解体を始めた。
「・・・・・・」
コナン君が走っていった方に、もう一度視線を向けてみるが、そこに姿があるはずも無く。
無機質な空間だけが視界に映って。
ここに居ても透さんが解除するのなら、やはりコナン君を追いかけるべきだったのではと、遅すぎる後悔のような考えが頭を巡った。
何故透さんは私をここに留めたのか。
・・・何も、役には立たないのに。
「・・・ライとは、何かあったんですか?」
「?」
爆弾解体の為に手を動かしながら、透さんは突然そう尋ねてきて。
何か・・・という曖昧過ぎる質問に首を傾けると、彼は一瞬私に視線を向けた。