第12章 LikeはLoveか、別物か
「僕もその方が良いと思うよ」
一連の流れを見ていたコナン君は、静かにそう私に助言した。
そもそも、コナン君がここにいること自体が大きな問題でもあるのだが。
「・・・そうだね、コナン君もいるし」
彼を監視する名目で、留まることを選んだ。
赤井さんが姿を見せたら、その時に合わせるしかない。
上手くできるか不安はあったが、悩んだところで仕方が無い為、勢いよく腹を括った。
私のその言葉を聞いた透さんは、腕を掴んでいた手の力をそっと弱め、私を自由にして。
「・・・・・・」
目を合わせると、変なことを口走ってしまいそうだったから。
なるべく透さんとは目を合わせないようにした。
「それで、そこのトラップは外したということなんですね?」
「あ、はい・・・」
彼は今、公安の安室透・・・いや、降谷零としているのだろう。
ただ、元々私達の繋がりはバーボンとウェルシュだ。
彼に、どう返事をしたらよいのか分からなくなってきている中、複数の顔を使い分ける透さんや赤井さんの凄さを、改めて痛感した。
「・・・成程」
彼も解体の知識はあるようだ。
だが、見たところ道具を持ち合わせていない。
・・・赤井さんであれば、ライフルバッグに仕込んでいるかもしれないが、堂々と貸してくださいなんて、言えるはずもない。
このナイフ1本でどうにかできるだろうかと考えている最中、どこからともなく、赤井さんが空から舞い降りるように降ってきて。
最低限の音を立てて私の目の前に着地すると、私達3人の姿を一遍に視界へ入れた。
状況はすぐに理解してくれたようだが、対応は全て丸投げしてしまったと目で謝罪しながら、どうすれば良いかそのまま視線で尋ねた。
「君もここに居たとはな」
僅かな笑みと共に、赤井さんは私にそう言って。
透さんは私の背後にいる。
私の表情は、彼から見えないと思うが。
それでも慎重に表情を選びながら、静かに拳を握った。