第12章 LikeはLoveか、別物か
「赤井さん!そこにいるんでしょ、力を貸して!」
道具が不十分な今のままでは、爆弾は解体できない。
赤井さんの力が必要なのは間違いないが・・・すぐにそこへ助けを求めたことには、些か不満が残った。
「奴ら、キュラソーの奪還に失敗したら、爆弾でこの観覧車ごと全てを吹き飛ばすつもりだよ!」
赤井さんが落ちたかどうか定かではないが、それくらいでどうにかなる人ではない。
コナン君が赤井さんに呼びかけている間、私は私にできることをしようと、爆弾が仕掛けられているであろう消火栓の前へとしゃがみ込んだ。
「・・・トラップか」
開けば爆発するような仕掛けがされている。
赤井さんが来るまでに、ここだけでも解除しておくかと、ナイフを取り出した時だった。
「本当か、コナンくん!!」
呼吸と思考が一瞬止まったのは。
赤井さんが返事をするものだという、先入観が良くなかった。
それ以上に、彼が・・・透さんが返事をする可能性を考えていなかったのは、もっと良くなかった。
「安室さん!?どうやってここに!?」
・・・本当に、無事だった。
その安堵と共に体の震えが起こって。
「その説明は後だ!それよりも爆弾はどこに!」
そう・・・だ。
今はこの爆弾に集中しないと。
深呼吸で何とか落ち着きを取り戻すと、震えを止めるようにナイフを握る手に力を込めた。
「・・・・・・」
今、キュラソーの身柄は公安にある。
透さんがここにいることは何も不思議ではない。
・・・が、タイミングが悪い。
「車軸とホイールの間に、無数に仕掛けられてる!遠隔操作でいつ爆発するか分からないんだ!」
目の前のトラップを解除しておくべきだ。
・・・でも、ここで公安である彼と鉢合わせても良いものか。
赤井さんから直前に釘を刺されたこともあり、上手く考えがまとまらない中。
「分かった!FBIと直ぐに行く!」
「・・・!・・・うんっ!」
透さんの口から、信じられない言葉が聞こえてきた。
FBI・・・ここにいるFBIは、赤井さんと私だけだ。
つまりは・・・赤井さんと透さんが、ここに来るという事で。